発行日 2002年2月1日
Published Date 2002/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2002134459
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63歳女.腹痛を主訴とした.腹部X線検査でガスにより拡張し蛇行する小腸を右下腹部~骨盤腔内に認めた.腹部CTでは肝臓の門脈内に樹枝状のair densityを認めた.又,盲腸付近を中心に脂肪織濃度が上昇しており,骨盤腔まで拡がる広範囲な炎症所見が認められた.これらの所見より回盲部病変による門脈ガス血症と診断し,緊急手術を行った.開腹すると膿性腹水が多量に認められ,虫垂が穿孔し周囲の腸間膜に広範囲に炎症が及んでいた.更にTreitz靱帯よりすぐの空腸が回盲部腸間膜に癒着して,約70cmにわたり壊死に陥っていた.虫垂切除+空腸切除+腹腔ドレナージを施行したが,術後多臓器不全となり7日目に亡くなった.過去10年間に日本で報告された門脈ガス血症79例の文献的考察を加えて報告した
©Nankodo Co., Ltd., 2002