発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015122711
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60歳女性。生来、右鼠径部に膨隆を自覚していたが痛みなどなく放置していた。しかし今回、心房細動に対するカテーテル手術施行後からおさまり難くなったため、受診となった。所見では右鼠径部に膨隆があり、還納は可能であった。採血検査や胸腹部X線像では異常は認められなかったが、鼠径部超音波検査ではヘルニア門24.7mm、長径54.5mm大の無エコー病変が確認され、液体成分を内容とする外鼠径ヘルニアと診断され、手術施行となった。術中所見では外腹斜筋腱膜を切開し鼠径管を開放、ヘルニア嚢を同定して内鼠径輪に向って剥離を行なったところ、これとは別に恥骨傍外腹斜筋腱膜腹側に径4cm大の腫瘍が認められた。術中超音波では腫瘍は内部がやや不整な低エコー像を示し、腹腔内との連続や周囲組織との癒着はなく、比較的容易に剥離摘出し得た。摘出標本は薄い被膜に包まれた腫瘍で弾性軟、径4cm大の充実性腫瘍であり、病理組織学的所見から孤立性線維腫瘍(SFT)と診断された。尚、患者は手術当日に帰宅、経過に特に問題なく、術後4ヵ月経過現在、再発は認められていない。
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