発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2015062455
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63歳男性。既往歴として慢性B型肝炎があった。今回、咳と咽頭痛に続き、突然の心窩部痛が出現、救急搬送され、動脈血ガス分析が行われたが、代謝性アシドーシスほか、腹部CTでは胃壁全体の壁肥厚や浮腫性変化がみられ、また胃周囲の脂肪織濃度の上昇や肝臓周囲と骨盤内に少量の腹水が認められた。更に上部消化管内視鏡では胃前庭部-体中部の大彎-前壁-小彎に潰瘍状変化が確認された。以上より、本症例は胃蜂窩織炎と診断され、入院となったが、入院当日の夕方よりショックバイタルとなり、動脈血ガス分析では代謝性アシドーシスの悪化や上部消化管内視鏡の再検で胃角部-体中部の大彎-前壁-小彎の広範に及ぶ壊死が認められた。以後、原因不明の胃壊死を疑い、緊急手術となるも、術中所見では胃体部を中心にほぼ胃壁全体にわたり漿膜の斑状の黒色調変化が認められ、壊死性変化と判断、胃全摘術が施行されるも、一期的再建はショックバイタルが続きできなかった。一方、病理組織学的所見では粘膜下層から筋層に球菌塊が認められ、Gram染色ではGran陽性球菌であり、腹水培養からもStreptococcus pyogenesが検出された。最終的には感染性胃壊死であり、術後もショックバイタルが継続することから、ポリミキシン吸着療法や持続的血液濾過透析を含めた集中治療を行うことで症状は改善、術後187日目にRoux-en-Y再建が施行され、再手術後98日目に退院となった。
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