発行日 2014年6月1日
Published Date 2014/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014230545
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60歳男。半年前より下血が頻回にあったが放置した。体重減少も認め、1ヵ月前より、めまい、動悸が出現した。直腸診で直腸癌を疑った。腹部CTでは、直腸壁の肥厚、傍直腸リンパ節の腫大を認めた。大腸内視鏡では直腸に複数のびらん、直腸RS-Raに全周性の3型病変を認めた。生検で直腸の病変は腺癌と診断した。盲腸粘膜は、粘膜固有層に好中球を伴う中等度から高度の炎症細胞浸潤がみられ、表層では淡い泡沫状の胞体と好酸性の核を有するアメーバの原虫体と考えられる構造物を認めた。アメーバ性大腸炎を合併した進行直腸癌と診断した。術前にメトロニダゾールを投与し、投与終了後に行った大腸内視鏡検査所見では、びらんは改善し、生検における病理所見でもアメーバ虫体を認めなかった。アメーバ性大腸炎は改善したと判断し、直腸癌の手術を施行した。D3郭清を伴う低位前方切除術を行った。縫合不全などの合併症を認めず、術後15日目に退院した。
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