発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012360642
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食道浸潤が3cmを超える症例に対する有用な手術術式を後ろ向きに検討した。対象は1990~2007年に手術を施行した治癒切除(R0)胃癌のうち、食道胃接合部に腫瘍の中心があった18例(年齢中央値61.5歳)で、術式は開胸開腹術12例、開腹術6例であった。患者背景では、患者・腫瘍・治癒要因に2群間に有意差はなく、縦隔リンパ節への転移程度にも全く差を認めなかった。術式による手術時間や出血量にも差はなかった。術後の合併症は開胸開腹術群でやや多く、特に縫合不全(2例)や肺炎(3例)は開胸開腹術群のみで、開腹術よりも侵襲が大きいことが推測された。両群とも術直後の死亡はなかったが、在院死亡は開胸開腹術群で1例認めた。術後生存率、再発率、初再発部位においても両群間に差を認めなかった。腫瘍・治療要因と死亡との関連を比例ハザードモデルで検討した結果、術式の違いによる差は認められず、R0が可能であれば開腹術を標準術式としたほうがよいと考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2012