発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014226275
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20歳代後半女性。自然妊娠にて近医の産婦人科で経過観察中であった。妊娠初期の血液検査ではHbが10g/dl程度で内痔核と診断され、軟膏による保存的治療を受けていた。今回、妊娠32週目頃より排便時の出血が多くなり、妊娠34週2日目には立ちくらみが出現して近医を受診、血液検査でHbが4.0g/dlと高度貧血が認められたため著者らの施設へ搬送された。搬送後、はじめ産科に送られたが、内痔核からの出血を原因とする貧血が疑われ、のちに外科へ紹介となった。所見では明らかな出血源が同定できず、経過観察目的で入院後、禁食・点滴・安静による保存的治療ほか、更に赤血球濃厚液(RCC-LR)の輸血(入院日に4単位、入院後1日目に4単位、5日目に2単位)が行われた。しかし、排便時に噴出するような出血は続き、再び貧血が進行、入院後9日目(妊娠35週4日目)にRCC-LRを2単位輸血後、産科医師の立会いのもとで準緊急手術(腰椎麻酔・砕石位)が施行された。2ヵ所の痔核を結紮切除した結果、術後は母子ともに経過良好で、入院後第6病日目(妊娠36週4日)に患者は退院、18日後(妊娠38週3日目)に2196gの女児を正常分娩で出産した。尚、分娩時および分娩後に痔核の脱出や出血はなく、痔核術後1ヵ月半時点ではHbは13.3g/dlであった。
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