発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014226268
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34歳男性。15年前発症の潰瘍性大腸炎(前大腸炎型)に対して他院で加療中(プレドニゾロン15mg内服)であった。今回、上腹部痛を主訴に救急外来を受診、腹部CTにてfree airを認め、穿孔性腹膜炎と診断後、緊急入院となった。入院時、腹部全体は上腹部を中心に強い圧痛と筋性防御が認められ、腹部造影CTでは上行結腸周囲にfree airがみられた。以上、これらの所見を踏まえ、本症例は穿孔性腹膜炎と考え、緊急開腹手術を行なったところ、術中所見ではTreitz靱帯から約130cmと180cm肛門側の小腸に漿膜側より触知される輪状潰瘍を確認、周囲はリンパ球を伴い内部には乾酪壊死を来した類上皮肉芽腫が認められた。更にZiehl-Neelsen染色陽性の抗酸菌を認め、腸結核と診断後、小腸部分切除+洗浄ドレナージ術が施行された。その結果、患者は経過良好で術後8日目に退院となった。尚、胸部CTで右肺下葉に肺結核を疑う空洞性病変があり、検査では喀痰Ziehl-Neelsen染色は陰性であったが、ポリメラーゼ連鎖反応法では結核菌陽性であった。そのため肺結核の活動期と判断して、外来にて抗結核療法(isoniazid+riphampicin+ethambutol+streptomycin)を1年の予定で開始した。
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