消化器外科術後合併症の治療
術後感染症の診断と治療
草地 信也
1
,
渡邉 学
1東邦大学医療センター大橋病院 外科
キーワード:
気道感染
,
空腸疾患
,
抗細菌剤
,
手術創感染
,
消化器外科
,
腸炎
,
尿路感染症
,
発生率
,
ブドウ球菌感染症
,
分類
,
診療費
,
カテーテル感染
,
術後感染症
,
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌
,
手術創
Keyword:
Surgical Wound
,
Anti-Bacterial Agents
,
Classification
,
Enterocolitis
,
Fees, Medical
,
Jejunal Diseases
,
Respiratory Tract Infections
,
Digestive System Surgical Procedures
,
Surgical Wound Infection
,
Staphylococcal Infections
,
Urinary Tract Infections
,
Incidence
,
Catheter-Related Infections
,
Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus
pp.22-27
発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2014069256
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術後感染症は,手術部位感染症(surgical site infection:SSI)と遠隔感染症(remote infection:RI)に分類される.SSIとは手術操作が直接及ぶ部位の感染症で,術野感染とも呼ばれている.これには,切開創感染と臓器/体腔感染(腹腔内膿瘍)が含まれる.RIとは術野外感染とも呼ばれ,手術操作が直接及ばない部位の感染症で,呼吸器感染症や血管内カテーテル感染,尿路感染症,抗菌薬関連性腸炎が含まれる.欧米では医療費の支払い方法が日本とは異なり,RIは手術代金とは別会計になる.このため,SSIしかサーベイランスの対象になっていない.しかし,日本では外科医がすべての術後感染症を最後まで治療してきた経緯があり,このために多くのことが手術や周術期管理にフィードバックされ,手術関連死亡率も欧米の1/5~1/10ときわめて少ない.日本では,多少エビデンスに欠けるとはいえ承認されている治療は最後まで積極的に治療する姿勢が望まれる.
©Nankodo Co., Ltd., 2014