大腸癌肝転移up to date
大腸癌肝転移肝外病変への対処法 肺転移
板橋 道朗
1
,
廣澤 知一郎
,
亀岡 信悟
1東京女子医科大学 第二外科
キーワード:
肝切除
,
肝臓腫瘍
,
大腸腫瘍
,
肺腫瘍
,
肺切除
,
生存分析
,
治療成績
Keyword:
Hepatectomy
,
Liver Neoplasms
,
Lung Neoplasms
,
Pneumonectomy
,
Colorectal Neoplasms
,
Survival Analysis
,
Treatment Outcome
pp.861-866
発行日 2013年8月1日
Published Date 2013/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013320661
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大腸癌肺転移例に対する肺切除は有用であり,肺転移のみを有する症例の肺切除後の5年生存率は30~73%と報告されている.第78回大腸癌研究会で行われた肺転移の症例集積研究では全国110施設から1,179例が登録され,肺切除を伴う肝切除の割合は全体の17.8%であった.肝・肺切除を行った症例の5年無再発生存率は33.5%,5年生存率は57.8%であった.原発巣の治癒切除後に異時性に肝転移,さらにインターバルをもって肺転移の切除となった症例は5年無再発生存率42.4%,5年生存率67.2%ともっとも良好であった.原発巣切除時に同時性に肝切除を行ったStageIV例と,原発巣切除時には遠隔転移を認めない症例を比較すると,StageIV例は5年無再発生存率25.5%,5年生存率48.9%と有意に予後不良であった.肝・肺転移例の病態は複雑で,多くの因子が関与する.原発巣の治癒度,転移部位での転移程度と治癒切除率,原発巣と転移の出現間隔,各臓器の切除適応基準などの因子が複雑に影響しており,予後因子は明らかになっていない.現状では,これらを症例ごとに総合的に判断して治療方針を決定していく必要がある.
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