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症例1(54歳男性)。直腸癌および多発肝転移に対し左鎖骨下静脈から皮下埋め込み型中心静脈カテーテルポート(CVポート)を挿入していた。今回、化学療法中に左肩痛を訴え、ポート造影を行ったところ、造影剤のポート外漏出を認め、カテーテル損傷と診断された。以後、画像診断にてカテーテルの断裂と末梢側断端の心臓内への迷入を確認し、翌日に断裂したカテーテルを回収した。尚、ポート留置から434日後の断裂であった。症例2(57歳女性)。S状結腸癌と多発性転移に対し右鎖骨下静脈からCVポートを挿入していた。今回、投薬中に胸部痛を訴え、CVポート挿入部周辺の腫脹と疼痛が認められた。画像診断によりカテーテルの断裂を認め、翌日に断裂したカテーテルを回収した。尚、ポート留置から93日後の断裂であった。症例3(60歳男性)。直腸癌術後再発に対し右鎖骨下静脈からCVポートを挿入し、化学療法を行っていたが、その後は半年間外来受診がなかった。しかしポート閉塞が生じ、今回、ポート抜去を施行した際に胸鎖関節より先端部が断裂し心臓内に迷入、同日にカテーテルを回収した。尚、ポート留置から1192日後の断裂であった。症例4(78歳男性)。上行結腸癌ならびに肝転移に対し右鎖骨下静脈からCVポートを留置していた。今回、ポート穿刺後の生理食塩水注入の際、穿刺部位の皮下に膨隆が認められた。画像診断により断裂部からの造影剤の漏出とCVポート周囲皮下への貯留が認められ、断裂したカテーテルは右肺動脈へ迷入していた。そこで、末梢側カテーテルの回収について家族の同意を求めたが得られず、残存したままとなったが、二次的合併症は起こらなかった。尚、ポート留置から398日後の断裂で、患者はカテーテル断裂4ヵ月後に原癌死した。
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