発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2013186092
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74歳男性。72歳時に左顎下腺癌(Stage IV)に対し、左顎下腺全摘および左頸部リンパ節郭清術が施行され、その後は再発なく経過していたが、今回、腹痛と下痢を主訴に著者らの施設へ受診となった。腹部造影CTにより骨盤腔小腸に造影効果を伴う壁肥厚~腫瘤形成病変と周囲脂肪酸濃度の上昇が認められ、漿膜浸潤が疑われた。以後、原発性小腸癌をはじめ転移性小腸腫瘍、gastrointestinal stromal tumor、リンパ腫などとの鑑別を含め、小腸部分切除術が施行された。その結果、肉眼所見では肛門側断端部より7cm口側腸管に3.5×6.0cmの2型腫瘍が認められ、病理組織学的所見では癌細胞は腸管癒着部で漿膜を超え、対側の漿膜下層および筋層に浸潤し、更に腫瘍内には壊死が目立ち、大型の腫瘍細胞がび漫性に増殖していた。また、腫瘍細胞は多数の核分裂像みられ、これらは摘出された顎下腺癌と極めて類似した所見であった。以上より、本症例は唾液腺導管癌の小腸転移と診断された。尚、摘出したリンパ節8個のうち一つにリンパ節転移が認められたが、術後は経過良好で今のところ再発所見は認められていない。
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