発行日 2012年2月1日
Published Date 2012/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2012159387
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
69歳男。僧帽弁閉鎖不全症、心房細動でwarfarinを内服中で、脳梗塞、慢性腎不全および前立腺癌で放射線治療の既往があった。今回、嘔吐、腹痛、発熱、黄疸の精査加療目的で紹介入院した。軽度貧血、眼球結膜に黄疸、皮膚黄染および炎症反応は軽度高値で、肝胆道系酵素も高値で、PT-INRは3.34と延長していた。腹部CTでは、胆嚢腫大と胆嚢内腔の吸収値上昇を認め、胆嚢出血で胆嚢炎を疑い、経皮的経肝的胆嚢ドレナージ(PTGBD)を施行したが、胆汁は吸引不能であった。上部消化管内視鏡で、胃内に凝血塊(coagula)を認め、Vater乳頭より血性胆汁の排出があり、胆道出血と診断した。減黄目的に内視鏡的経鼻胆管ドレナージ(ENBD)チューブを留置した。入院4日目に多量のタール便があり、Hb7.5g/dlまで低下したため、輸血で補正した。また、ENBDチューブより暗赤色の血性胆汁が排出されたがT-Bilは最大11.33mg/dlまで上昇した。以上より、胆嚢出血を疑い、腹腔鏡で手術を開始したが、胆嚢の炎症が高度なため開腹胆嚢摘出術に移行した。胆嚢は壁肥厚で緊満しており、内腔に大量の凝血塊が充満し、黄疸は総胆管内の凝血塊が原因と考えられた。病理所見は急性炎症を部分的に伴う出血性胆嚢炎で、広範な出血および一部好中球集簇と潰瘍性変化を認めた。経過順調で術後9日目に退院しT-Bilは術後49日目に正常化した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012