発行日 2011年7月1日
Published Date 2011/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2011292662
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62歳男。食道アカラシアで通院中、出血性胃潰瘍のため緊急胃部分切除を受け、更に食道の隆起性病変を指摘された。上部消化管内視鏡で切歯より30cmの右壁に周囲に発赤を伴う表在型の隆起性病変を認め、生検で低分化型扁平上皮癌と診断した。Lugol染色で主病巣は不染を呈し、周囲に広範囲に不染帯を伴っていた。胸腹部CTで肝・肺転移やリンパ節転移、周囲臓器への浸潤所見はなく、胸部中部食道に発生した胸部食道癌、cT2cN0cM0 cStage IIの診断で胸腔鏡下食道切除術、縦隔リンパ節郭清を行った。病理組織所見で、基底細胞類似の腫瘍細胞が著明な核分裂を伴い、不規則な癌胞巣を形成しつつ粘膜筋板を超えて粘膜下層の深層まで浸潤していた。腫瘍内には管腔様構造を示しながら増殖する部分を認め、内腔にはAlcian blue陽性物質が貯留していた。広汎な上皮内伸展とリンパ管・静脈侵襲を認め、類基底細胞癌と診断された。経過良好で退院となったが、術後16ヵ月に頸部から縦隔リンパ節への転移を認め、放射線照射と化学療法を行うも術後20ヵ月に死亡した。
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