発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010313476
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83歳男性。患者は37歳時に胃潰瘍で広範囲胃切除術(BillrothII再建)を受けた既往があった。今回、心窩部痛で近医に貧血を指摘され、著者らの施設へ紹介となった。受信時、血算は高度貧血と低蛋白血症が認められ、上部内視鏡では残胃体部小彎の前後壁に約8cmの3型腫瘍がみられた。生検によりGroupV、中分化型腺癌と診断され入院となったが、CTでは同部位を中心に不整な壁肥厚が確認され、残胃癌と診断、開腹にて残胃全摘術および脾臓合併切除、Roux-en-Y再建が行われた。その結果、病理所見では類円形核、多数の核分裂像、好酸性の細胞質を有する腫瘍細胞がシート状・策状配列を伴って増生し、中分化型腺癌が混在していた。また、免疫染色ではシート状・策状配列の癌胞巣にsynaptophysinが陽性を示し、内分泌細胞癌、T3N2P0H0M0、Stage IIIBであった。術後に化学療法をが行われたが、患者は手術から6ヵ月目に多発性肝転移、リンパ節転移、腹膜播種を来して8ヵ月目に癌死した。
©Nankodo Co., Ltd., 2010