発行日 2010年6月1日
Published Date 2010/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010242789
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62歳女。患者は黄疸を主訴とした。MDCT所見等により肝内胆管癌肝門浸潤と診断され、検査結果から経皮経肝門脈枝塞栓(PTPE)併用、肝拡大右葉切除術、胆道再建で切除は可能と判断された。そこで、経皮経肝胆道ドレナージの施行後、無水ethanolを用いたPTPEが行われたが、PTPE後1日目に肝酵素の著明な上昇がみられ、加えて発熱と強い倦怠感の訴えがあった。広範な肝梗塞の可能性が示唆され、また、入院時の咽頭・胆汁培養からメシチリン耐性黄色ブドウ球菌を指摘されていたことから、肝膿瘍に移行することも危惧された。以後、PTPEから14日目に肝臓は広範壊死に陥っていたものの、残存肝の肥大は良好で、抗生剤の投与が行われた。その結果、解熱が得られ、続いてPTPE後34日目に肝右葉切除術、胆道再建が施行された。手術は肝壊死部の細菌感染の管理に難渋したが、患者は最終的に術後72日目に軽快退院となった。尚、検索した限り、門脈枝塞栓単独で広範な肝壊死を来し、治療に難渋した報告は認られめなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010