発行日 2007年11月1日
Published Date 2007/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008098647
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59歳男。患者は3ヵ月で6kgの体重減少を来していたが、放置していた。交通事故で救急外来を受診したところ、腹部CTで肝に巨大な腫瘍が指摘された。それは肝S5、8、7、4に及ぶ径12×10cm大の巨大で中心に壊死のある血流に富む腫瘍で、外側区域は肥大しており、肝S2、4、3、7に肝内転移がみられた。しかし、腹部血管造影では門脈右枝は造影されず、腫瘍栓による閉塞か腫瘍の圧排による閉塞か明らかな診断はできなかった。そこで、腹部経動脈性門脈造影下CTが行われたが、腫瘍は門脈血流がなく造影されなかったものの、外側区域には多数の転移が確認された。巨大な肝細胞癌で両葉に肝内転移があり、根治的切除は不可能であり、但し、肝予備能が良好であることから、先ず減量手術を施行し、右3区域を切除した。そして術後3週目からは肝動注療法を行い、現在は術後1年1ヵ月経過で患者は社会復帰をしている。尚、腹部CTでは外側区域は代償性に肥大し、S2に2個転移があるが、径1cm程度でコントロールされている。
©Nankodo Co., Ltd., 2007