発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010155747
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乳腺粘液癌15例(純型6例・混合型9例)について、通常型477例との比較検討を行った。病期は粘液癌でI期が多い傾向であったが有意差はなかった。なお、粘液癌は全例II期までの症例でIII期以上の症例はなかった。純型と混合型の比較では、純型でI期の症例が多かったが有意差はなかった。術前の穿刺吸引細胞診では、粘液癌・通常型とも正診率90%以上と高く有意差はなかった。粘液癌の手術術式は、1990年以降の5例(33.3%)には乳房温存術が施行されたが、それ以前ではHalsted法1例、Pathey法4例、Auchincloss法5例が施行されていた。通常型の術式もほぼ同様の傾向で、全例の温存術の比率は40.7%であった。ホルモンレセプターは、エストロゲンレセプター陽性率は粘液癌86.7%、通常型62.0%と有意差を認め、プロゲステロンレセプター陽性率は粘液癌で高かったが有意差はなかった。5年と10年の生存率は、粘液癌はいずれも90%、通常型は各84.3%、79.3%と粘液癌で予後良好であったが有意差はなかった。その他、手術時の平均年齢、腫瘍径、リンパ節転移率に有意差はなかった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010