外科医が気を使う高齢者手術の周術期管理
高齢者消化器外科手術後音楽療法
近森 文夫
1
,
井上 敦
,
光岡 妙子
,
国吉 宣俊
,
岡本 博司
,
国吉 和重
1国吉病院 消化器外科
キーワード:
音楽療法
,
血圧
,
幸福
,
酸素飽和度測定
,
術後管理
,
消化器外科
,
心拍数
,
心理的ストレス
,
唾液
,
高齢者
,
Chromogranin A
Keyword:
Aged
,
Blood Pressure
,
Happiness
,
Heart Rate
,
Music Therapy
,
Oximetry
,
Postoperative Care
,
Digestive System Surgical Procedures
,
Saliva
,
Stress, Psychological
,
Chromogranin A
pp.287-291
発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010111519
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消化器外科手術対象として高齢者が増加しており、周術期精神機能障害を最小限に抑えることが求められている。消化器外科領域における音楽療法は今なお臨床研究のレベルであるが、今回光ガイドキーボード装置を用いた周術期音楽療法の試みについて紹介する。消化器外科手術患者20例を対象に手術前および術後1日目に光ガイドキーボード装置を用いた音楽療法を施行した。トーンはピアノ、使用曲は「ムーンリバー」とし、1回10分/日、光ガイドにより患者が能動的にキーボードを押して演奏するように指導した。血圧、脈拍数、経皮的酸素飽和度、唾液中クロモグラニンAを手術前および術後1日目に各々、安静臥床時、消毒後起座位、音楽療法施行直後、音楽療法終了15分後に測定し評価した。幸福感イメージによる気分評価もイメージスケールを用いて同時に施行した。外科的ストレスにより、術前と比べて術後1日目の唾液中クロモグラニンAは増加し、幸福感イメージスコアは低下した。光ガイドキーボード装置を用いた音楽療法により、血圧は安定し、幸福感イメージスコアは改善し、唾液中クロモグラニンAは減少した。光ガイドキーボード装置を用いた音楽療法は術後も安全に導入でき、周術期ストレスの軽減や気分改善に貢献するものと思われた。
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