発行日 2002年4月1日
Published Date 2002/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2002252049
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55歳男.外来透析中に右下腹部痛及び嘔吐が出現し,急性虫垂炎を疑われ入院した.腹部X線で回盲部から横行結腸にかけてガスの集積と便塊を認め,右下腹部に小腸ガスの集積を認めた.腹部単純CTでは椎体の右腹側に小腸の拡張とガス像を認めたが腸壁の肥厚は認めなかった.保存的治療を施行するも軽快せず,筋性防御出現したため腹膜炎の診断により緊急開腹手術を施行した.血性腹水を認め,回腸に壊死を認めた.明らかな穿孔及び支配血管に器質的閉塞も認めなかった.病変部回腸を切除し回腸・回腸端端吻合術を施行し,腹腔内ドレナージ管を留置した.病変部では広範囲な粘膜上皮の脱落と粘膜下層の浮腫,炎症性細胞の浸潤を認め,一部には再生上皮を認めた.壊死変化は切除腸管の中央が最も強く壊死型虚血性腸炎と診断した.術後敗血症の緩解と増悪を繰り返したが,大動脈閉鎖不全症の診断で大動脈弁置換術を施行し,経過は良好である
©Nankodo Co., Ltd., 2002