発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007038506
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症例は73歳の女性で、食後のつかえ感が出現し、近医にて食道アカラシアとの診断で入院し、内視鏡的バルーン拡張術を施行されて症状が改善し、退院した。その後、同様の症状が出現し、紹介受診した。理学所見に異常はなく、CRPが軽度上昇するほかに血液検査に異常はなく、PLTも正常であった。内視鏡的バルーン拡張術を2回行い、傾向摂取状態も良好で、退院となった。しかし、その1ヵ月半後に症状が再燃し、手術療法が必要であると判断し、術前の心機能評価のために行った心エコー検査にて下大静脈内血栓が疑われ、造影CT検査にて食道の下端から腎静脈流入部の直上付近にまで存在していた。下大静脈フィルター留置を断念し、抗凝固療法を導入し、約2ヵ月後のCTでは血栓は消失し肺塞栓を疑わせる症状は出現しなかった。その後、鏡視下補助食道アカラシア根治術を施行した。術後の経過は順調で、造影剤の通過時間、下部食道の拡張も術前に比べて改善がみられた。術後の検査にて、原発性抗リン脂質抗体症候群の合併が考えられ、抗凝固療法薬の投与量を調節後、症状の再燃はなく、外来通院中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2006