最新癌治療 エビデンスで示す治療効果とコスト
進行胃癌 費用対効果に基づいた治療戦略
久保 信英
1
,
佐伯 浩司
,
遠藤 和也
,
森田 勝
,
江見 泰徳
,
掛地 吉弘
,
前原 喜彦
1九州大学 大学院消化器・総合外科
キーワード:
胃腫瘍
,
胃切除
,
医療費
,
アジュバント化学療法
,
費用効果分析
,
TS-1
Keyword:
Health Expenditures
,
Gastrectomy
,
Stomach Neoplasms
,
Chemotherapy, Adjuvant
pp.487-491
発行日 2009年5月1日
Published Date 2009/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009185200
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進行胃癌の治療は手術療法や化学療法が主体であるが、これまで「1日でも予後を改善できる治療法」という観点でエビデンスが創出されてきた。一方で、生活の質(QOL)や特にコスト面はあまり重視されてこなかった。昨今の医療を取り巻くさまざまな背景により、質と効率に優れた医療の提供が求められている。臨床技術の費用対効果を評価するために臨床経済学の手法が応用されるが、胃癌領域に関する検討は十分とはいえない。経口抗癌薬であるS-1療法による術後補助化学療法は増分費用効果比が低値で費用対効果に優れていると報告された。また、進行再発胃癌におけるS-1療法は既存化学療法と比較して、費用効果分析において1ヵ月あたりの医療費が低値であったという報告がある。今後、胃癌治療領域においても分子標的治療薬などの高額治療の出現が予想され、費用対効果について検討が必要である。
©Nankodo Co., Ltd., 2009