発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008003676
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胃癌術前の栄養状態とSSI(術後手術部位感染)発生との関連について検討した。2006年4月~7月に実施された胃癌待期手術65例のうち術前にアルブミン(Alb)、プレアルブミン(PA)とprognostic nutrition index(PNI)を測定できた60例(男40例、女20例)を対象にSSI群(SSI発生群)9例(男6例、女3例、平均年齢、76.0±5.8歳)およびnon SSI群(SSI非発生群)51例(男34例、女17例、平均年齢68.4±14.3歳)に群分けし、背景因子と術前の栄養指標に関して比較検討を行った。その結果、60例中9例に創感染を認めた。SSI発生の背景因子として年齢はSSI群が有意に高齢であったが、男女比、身長、体重、術式、手術手技および組織学的病期さらに手術時間、術中出血量に有意差は認めなかった。また、栄養指標のSSI発生への影響も認めなかったが、末梢リンパ球数、PNI、術前血清Alb値、術前血清PA値はSSI群で有意に低値であった。SSI発生率はAlb低値群および術前血清PA低値群で高い傾向を認めた。本検討では術前血清PA値が正常値以下の低栄養の患者にSSIの発生率が有意に高いことが示唆されたことにより、術前栄養状態の改善後に手術を行うべきであると考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007