発行日 2007年1月1日
Published Date 2007/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007098919
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86歳女。発熱を主訴とした。右季肋下から下腹部にかけて圧痛を伴う10cm大の硬い腫瘤を触知し、超音波検査では低輝度領域と高輝度領域が混在する充実性腫瘤像を認めた。CT検査では腫瘤左側が液体腔、右側は多房性構造を示し、磁気共鳴胆管膵管造影検査では頸部から体部にかけては充実性成分で底部に液体成分を含む腫大した胆嚢が描出された。胆嚢腫瘍の診断で開腹胆嚢摘出術を施行した。術中周囲組織への直接浸潤は認めず、病理組織学的には扁平上皮癌の診断で、扁平上皮癌部分と異形成を伴う既存の胆嚢腺が近接していたことから、異形成腺上皮から扁平上皮癌への分化の可能性が示唆された。術後は速やかに解熱し、高齢のため補助療法は行わず外来通院にて経過観察中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2007