十二指腸乳頭部腫瘍の治療戦略
乳頭部腫瘍に対する手術 十二指腸乳頭部腫瘍に対する至適術式選択
中郡 聡夫
1
,
木下 平
,
小西 大
,
高橋 進一郎
,
後藤田 直人
1国立がんセンター東病院 上腹部外科
キーワード:
十二指腸腫瘍
,
リンパ行性転移
,
腺腫
,
胆膵管膨大部
,
幽門輪温存膵十二指腸切除
Keyword:
Adenoma
,
Duodenal Neoplasms
,
Lymphatic Metastasis
,
Ampulla of Vater
pp.1154-1158
発行日 2006年10月1日
Published Date 2006/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2007038494
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十二指腸乳頭部腫瘍に対しては、腺腫の診断であれば局所切除、腺癌の診断であれば亜全胃温存膵頭十二指腸切除(SSPPD)や膵頭十二指腸切除(PD)を選択するのが現在の標準的な治療方針と考えられる。乳頭部腺腫は局所切除によって高率に完全切除(R0)が達成され、再発率もきわめて低い。早期の乳頭部癌(Tis,T1)に対する局所切除の有効性を示すエビデンスは乏しく、局所切除は標準的な治療法として確立してはいない。むしろ最近では、T1乳頭部癌ではリンパ節転移率および局所再発率が高く、局所切除(ampullectomy)だけでは限界があるとする報告が多い。一方、Tis乳頭部癌ではリンパ節転移を認めないとする報告が多く、局所切除により完全切除(R0)を達成できる可能性があると思われる。われわれが局所切除を施行して組織学的にTis乳頭部癌であった4例は追加切除を行わずにすべて無再発生存中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2006