発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004301622
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66歳女.主訴は右乳房のしこり.モンモグラフィーで右乳房の部位Mに,大きさが2.5×1.8cmの不整形でスピキュラを伴う腫瘤が存在し,内部には多形性の石灰化を認め,カテゴリー5と診断した.超音波検査所見で形状は不整で,内部エコーは低く不均一,石灰化も有する腫瘍像が存在した.辺縁は不整で乳管内伸展も認め,後方エコーはやや減弱しており,T2,N0,M0,Stage IIAの乳癌と診断した.術中迅速組織診にて浸潤性乳癌と最終的に診断し,右乳房切除術と腋窩リンパ節廓清を施行した.手術1病日,右上腕と前腕の麻痺が出現していることが診断された.三角筋,上腕二頭筋主体の麻痺であり,腕神経叢部に圧痛が存在した.C5,C6根部の上位型腕神経叢損傷と診断し,ステロイドパルス療法,ビタミンB12経口投与,星状神経節ブロック,リハビリを施行した.麻痺は次第に軽減し,2週間後には肘関節の屈曲が可能になり,1ヵ月後には右上肢の水平挙上が可能になった.頸椎MRIでは頸椎の配列が不整で,C3~C7の椎間板が背側に突出し,脊柱管が狭窄しているのが認められた
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