発行日 2013年5月20日
Published Date 2013/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/J05332.2013244874
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症例は70歳代後半の男性.S状結腸に大きさ9mm,病変頂部に陥凹面を伴うIsp型病変を認めた.通常およびNBI拡大・色素拡大内視鏡所見より,腺腫成分を伴う高異型度癌,高から中分化管状腺癌,SM高度浸潤癌,と診断した.しかし,pit pattern診断を再検討した結果,irregular micro pit pattern(IM pit pattern)の範囲・領域が5mm未満であることからSM浸潤度診断に迷いが生じた.さらに,病変起始部が可動性のある大きさが9mmの腺腫成分を伴うpolypoid growthのIsp型であることから診断・治療目的にてEMRを施行した.病理診断は,病変起始部から辺縁隆起部は管状腺腫,陥凹部で高異型度癌・高から中分化管状腺癌,pSM(640μm),ly0,v0,pHM0,pVM0であった.しかし,深達度診断においては,pM(MM)やpSM(640μm),pSM(1,550μm)と消化管専門病理医の間でも浸潤距離測定の判定に見解の違いがみられた.今後,粘膜筋板の評価が困難な症例に対する判定基準の統一化が課題と考えられた貴重な症例であった.
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