発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2005064338
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
79歳男.左肩挙上困難,左肩甲部腫瘤を主訴とした.特に誘因なく左肩甲部と左上腕部に腫瘤が出現し,軟部腫瘤として切除されたが創治癒は遷延した.初診時,主訴と左上腕部開放創からの膿汁を認め,左肩関節のX線像には骨頭の骨萎縮,臼蓋辺縁の侵食像と臼蓋上腕関節の軽度狭小化がみられたが,胸部X線像に異常はなかった.肩関節造影検査では三角筋下滑液包と棘上窩に及ぶ広範な造影剤の漏出がみられ,CTでは骨頭と臼蓋の骨破壊・骨折を,MRIでは肩関節に広範な膿瘍形成を認めた.また,血液検査にてESR亢進,CPR高値を呈し,膿汁よりのガフキーはII号,結核菌のPolymerase chain reaction法は陽性であった.以上より,左肩関節結核と診断して抗結核薬の三者併用療法と病巣掻爬を行い,頸部より中枢の上腕骨を切除した後,肩関節のスペーサーとして抗結核薬含有セメントを挿入した.術後,ESR,CRPは正常化した
©Nankodo Co., Ltd., 2004