発行日 2014年5月20日
Published Date 2014/5/20
DOI https://doi.org/10.19020/J01937.2014307780
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57歳女。2型糖尿病・高血圧・喘息で加療中であった。皮膚黄染が出現し、血液検査で肝胆道系酵素の上昇、高ビリルビン血症、膵・胆道系の腫瘍マーカーの異常高値を認めた。腹部CTで閉塞性黄疸の所見を認め、膵頭部~膵鉤部に20mm大の腫瘤があり、黄疸の責任病変と考えられた。主膵管は拡張し、膵体尾部が萎縮していた。膵頭十二指腸切除術(PD)を施行し、病理診断は膵頭部原発の高分化型腺癌であった。術後CTでは術前に比べ肝実質のCT値低下、肝腫大を認め、肝細胞への脂肪沈着の進行も認めた。術後36日の退院時には体重減少、肝機能異常の再燃を認め、術後72日にゲムシタビンによる補助化学療法が行われた際には体重は更に減少しており、術後79日には肝実質CT値の更なる低下、脂肪肝の進行を認めた。T.Bilが徐々に上昇したため術後119日に再入院し経皮的肝生検を行ったところ、病理所見は非アルコール性脂肪性肝疾患(NASH)に合致し、PDにより惹起された著明な体重減少(栄養障害)に関連した肝障害で、短期間に急速に肝不全に進行したNASHと考えられた。術後124日に意識障害が出現し、肝性脳症を認め、肝萎縮の進行や腹水などの増悪を来たし術後147日に死亡した。
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