発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004145223
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89歳女.主訴は右下腹部の発赤,腫脹.入院時腹部単純X線所見で腫脹のみられる右下腹部に一致して腸管外ガス像が認められた.又,回盲部から上行結腸にかけてガス像が増加していた.腹部CT所見で腹部骨盤内右側に腫瘤を認め,横行結腸癌が疑われた.又,腹壁内にガス像が認められた.一部腸管と連続していたため,横行結腸癌の腹壁浸潤および腹壁内への腸管穿孔が疑われた.入院後2日間保存的に加療を試みたが症状及び所見の改善がみられず,同部位を局所麻酔下に切開し排膿を試みたが,切開創が腹腔内と交通していたため緊急開腹術を施行した.全身麻酔下に正中切開にて開腹したところ,横行結腸に腫瘤病変を認め,腫瘤は腹壁に浸潤癒着していた.以上の所見より,横行結腸癌が腹壁に浸潤穿通して腹壁内に膿瘍を形成したものと判断した.これに対して,右半結腸切除術および筋層を含めた腹壁合併切除,D2リンパ節郭清を施行した.術後経過は良好で,創部の感染がみられた他は,腹壁ヘルニア等の合併症もなく順調に経過し,第64病日に退院した
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