発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003308842
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73歳女.食欲不振,著明な下腿浮腫,腹部膨満を主訴とした.入院時,臍上部に鶏卵大の腫瘤を触知し,正球性正色素性貧血と著明な低蛋白血症(TP3.2g/l,Alb1.7g/l)を認めた.腹部画像診断より右横行結腸は腸重積状態で,その先進部に41×37mmの腫瘤を認め,S状結腸に隆起性病変を認めた.99mTc標識ヒト血清アルブミン(99mTc-HSA)シンチグラフィでは右横行結腸からS状結腸に一致してRIの異常集積を認め,腫瘍からの蛋白漏出が強く示唆された.重複大腸癌による蛋白漏出性胃腸症と診断し,拡大左半結腸切除を行った.術後蛋白減少は認めず,経口摂取開始後TPは速やかに改善し,術後2年以上を経過したが再発の徴候はない.重複した腫瘍表面からの蛋白喪失とリンパ管閉塞による蛋白流出が複合して低蛋白が出現し,横行結腸重積が更に助長した可能性があった.蛋白漏出に対して99mTc-HASシンチグラフィによる迅速な診断と対応は意義のあることと考えた
©Nankodo Co., Ltd., 2003