発行日 2007年11月1日
Published Date 2007/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008056098
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症例は円板状ループスの49歳女性で、数週間前より下腿浮腫と間歇的な下痢を認めるようになった。以前は全身性エリテマトーデス(SLE)の診断基準を満たしていなかったが、このたびは頬部皮疹・円盤状皮疹の出現、抗ds-DNA抗体陽性、抗核抗体陽性で、SLEと確定診断した。また、総タンパク質:4.4g/dl、アルブミン:1.6g/dlであったが、経皮的腎生検でループス腎炎によるネフローゼ症候群からの低タンパク質血症は否定された。テクネシウム(Tc)99m-ヒト血清アルブミン(HSA)シンチグラフィを行ったところ、投与早期より胃の輪郭が明瞭で、次第に胃内への放射能集積亢進がみられた。30分後からは回盲部の放射能レベルが上昇し、120分以降には明瞭な集積が観察された。胃からのタンパク質漏出性胃腸症(PLG)と診断した。Tc99m-HSAシンチグラフィは診断にも有用で、かつ下痢に影響を受けにくい。低タンパク質血症を認めた場合には、PLGの可能性も念頭において検査を進めることが重要だと思われた。
©Nankodo Co., Ltd., 2007