発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003207582
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71歳男性.右下腹部腫瘤・右下腹部痛を主訴とした.入院時検査では軽度炎症所見,尿潜血陽性を示したが,腫瘍マーカーは正常範囲であった.腹部超音波では回盲部に低エコー腫瘤を,腹部CT検査では腹壁と後腹膜へ浸潤あるいは波及した腫瘤を認めた.注腸造影像で盲腸に圧排所見を認めたが,大腸内視鏡検査では盲腸粘膜に潰瘍・肉芽腫など異常所見はみられなかった.以上より,回盲部腫瘤を疑い,手術を行った.手術所見では盲腸に6~7cmの壁外性腫瘤を認め,腹壁と腸腰筋への波及がみられたため,リンパ節郭清を伴う右結腸切除術を行った.病理組織学的に盲腸炎症細胞中に放線菌塊を認め,大腸放線菌症と診断した.術後4日間Cefazolin sodiumを投与したが,4週間後に腹壁膿瘍を認め,切開した.細菌培養にてFusobacterium nucleatumが検出され,膿瘍腔洗浄と抗生物質投与を1ヵ月行い,軽快した.術後6ヵ月の現在,再発なく健存中である
©Nankodo Co., Ltd., 2003