発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003207583
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58歳女性.腹部膨満,食欲低下を主訴に,近医で直腸狭窄を指摘され,著者ら施設へ入院となった.腹部単純X線にて左下腹部でガスが途絶し,大腸内視鏡で直腸Rs部口側に腫瘤圧排による全周狭窄を認めた.腹部・骨盤CTでは小腸の拡張を認めたが,腫瘤は認めなかった.進行直腸癌による腸閉塞を考え,手術を施行したところ,直腸Rs~Ra部の腫瘤,膀胱・骨盤左側壁浸潤,リンパ節腫大を認め,切除不能と判断し,S状結腸に二連銃式人工肛門を造設した.腫瘍圧迫による尿管閉塞防止目的で術後14病日にW-Jステントチューブを挿入,17病日に化学療法を4週行った.腹部・骨盤CTで直腸左前壁と膀胱の間に腫瘤を認め,2回目の手術を行った結果,直腸の腫瘤は存在せず,術中迅速診でも悪性所見はなく,S状結腸と残存直腸を吻合した.切除標本で直腸の3~4cmにわたり狭窄を認めたが,腫瘤はみられず,病理組織学的に憩室炎が疑われた.術後経過良好で,W-Jステント抜去後,23病日に退院となった
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