発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2003201003
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14歳男.腹痛,下痢,発熱を主訴とした.血液検査より高度の炎症所見および小球性貧血の所見を認め,CT検査にて骨盤腔右側に腫瘤像を,また,右腎盂の拡張像を認めた.盲腸周囲膿瘍を伴う虫垂炎と診断し,開腹術を施行した.組織学的に,虫垂の漿膜面を含む壁全体および虫垂周囲組織には,著明な浮腫,好中球浸潤を認め,高度な虫垂炎の所見であった.虫垂先端部の骨盤壁側腹膜癒着部では,組織が崩壊し穿孔に近い状態であった.手術直後の腹部単純像では,術前に施行したCT検査の造影剤が右腎盂尿管に残存しており,骨盤部での右尿管の狭窄像を認めた.術後3ヵ月の静脈性尿路造影(DIP)検査では右尿管の軽度の拡張所見を認めるものの,右水腎水尿管症はかなり改善していた.水腎水尿管症を呈する患者で,腹痛を有し泌尿器系の症状や尿異常所見に乏しい場合は,虫垂炎の有無を念頭に置くことが重要と考えられた
©Nankodo Co., Ltd., 2003