発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2008003681
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
84歳女。以前より直腸脱を自覚していたが排便時に肛門部を温水便座にて洗浄を行っていた際に出血、腸管の脱出をきたし救急搬送された。肛門部に肛門から脱出したと思われる約1mの小腸が見られやや褐色調を呈していた。血液生化学検査ではLDH、CPK、BUNに軽度の上昇を認め胸部・腹部単純X線所見ではFree airは明らかではなかった。腹部CTでは小腸が経肛門的に脱出していたが、その経路として上部直腸の穿孔を疑った。以上の所見より、直腸穿孔による小腸の脱出と考え緊急手術を行った。手術所見では小腸およびS状結腸がDouglas窩に落ち込んでおり腹膜翻転部直上の直腸に約5cmの長軸方向の穿孔部を認め、同部から約1mの小腸が直腸内に入り込んでいた。小腸脱出部を腹腔内に還納後、色調は良好となり切除の必要はないと考えた。直腸穿孔部の腸管壁に穿孔原因の病変は認めず特発性直腸穿孔と考えた。穿孔部を縫合閉鎖し腹腔内を洗浄後、双孔式S状結腸人工肛門を作製して手術を終了した。約1ヵ月後人工肛門を閉鎖し2ヵ月後、軽快退院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2007