特集 抗菌薬の「なぜ?」に答える
細菌性腸炎
川村 尚久
1
1労働者健康安全機構大阪労災病院 小児科
キーワード:
Amoxicillin
,
Ceftriaxone
,
大腸菌感染症
,
Norfloxacin
,
サルモネラ感染症
,
抗細菌剤
,
細菌感染症
,
鑑別診断
,
赤痢-細菌性
,
腸炎
,
腸チフス
,
溶血性尿毒症症候群
,
医薬品適正使用
,
Enterohemorrhagic Escherichia coli
Keyword:
Anti-Bacterial Agents
,
Bacterial Infections
,
Dysentery, Bacillary
,
Diagnosis, Differential
,
Norfloxacin
,
Hemolytic-Uremic Syndrome
,
Ceftriaxone
,
Enterocolitis
,
Escherichia coli Infections
,
Typhoid Fever
,
Salmonella Infections
,
Amoxicillin
,
Enterohemorrhagic Escherichia coli
pp.1425-1430
発行日 2020年10月1日
Published Date 2020/10/1
DOI https://doi.org/10.24479/J00648.2021021152
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<Key Points>(1)感染性胃腸炎は、小児の日常診療においてもっともよく遭遇する疾患群で、ほとんどがウイルス性胃腸炎で自然軽快するものである。細菌性腸炎による下痢であっても、多くは自然軽快する。(2)ウイルス性腸炎と診断した場合、もちろん抗菌薬は無効であるばかりか、腸内細菌叢を乱し、菌交代現象や耐性菌の成因ともなるため絶対に使用しない。(3)細菌性腸炎と判断した場合は、時機を得た適正な抗菌薬療法は下痢の重症度を改善し、罹病期間を短縮する。(4)不適切な抗菌薬投与は保菌状態を長引かせ、薬剤耐性をひき起こす。(5)軽症の健常児の場合は、便培養を採取のうえ、対症療法を行い、経過と便培養結果を確認のうえ治療として除菌を必要とするものには抗菌薬治療を考慮する。(6)「JAID/JSC感染症治療ガイド」はempiric therapy、definitive therapyにおける推奨される治療薬を提示する形で構成されている。(7)「抗微生物薬適正使用の手引き」は抗菌薬の不適切使用を中止する目的で作成された。(8)「溶血性尿毒症症候群の診断・治療ガイドライン」はEHECとHUSに対する診断・治療に特化したものである。
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