発行日 2002年4月1日
Published Date 2002/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2002252024
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38歳男.下痢が持続し右下腹部痛が出現したため,精査目的で入院した.腹部X線で,回盲部に線状の石灰化陰影を認め,CT所見で盲腸~横行結腸にわたる腸管壁の肥厚と石灰化を認めた.急性虫垂炎による腹膜炎を疑い緊急回復術を施行した.盲腸~S状結腸の腸管壁の鬱血と血管の拡張像を認めた.炎症性腸疾患を疑い腸切除は行わずドレナージのみを施行した.術後は腹痛,炎症所見共に軽快し精査を施行した.注腸検査では,腸管壁の硬化像と偽憩室の形成を認めた.大腸内視鏡で浮腫状で暗赤色の粘膜と多数の縦走潰瘍を認めた.生検の結果,アミロイドーシス,大腸炎,クローン病等も否定され,画像所見より静脈硬化性虚血性腸炎と診断した.腹痛の再発なく,摂食も良好で術後3週間で退院となった.外来通院にて経過観察中であるが再発は認めていない
©Nankodo Co., Ltd., 2002