発行日 2002年4月1日
Published Date 2002/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2002241340
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76歳男.1997年胃癌にて噴門側胃切除術を受け,高血圧,狭心症,陳旧性心筋梗塞,腹部大動脈瘤,めまいにて通院加療中であった.1999年に施行した腹部単純CTにより肝S5区域に腫瘤像が認められた.軽度の貧血の他は,肝機能異常や炎症反応も認めなかった.肝炎ウイルスマーカーはB型C型共に陰性であった.腹部超音波検査で肝S5区域に径11mmの境界明瞭でほぼ均一な低エコーの腫瘤が認められた.単純CTでは同部位に淡いlow densityを示す腫瘤像が認められた.腹部MRI検査で腫瘤はT1強調像で等信号,T2強調像では高信号であった.以上より,転移性肝腫瘍が疑われ,肝部分切除術を施行した.切除標本で腫瘤は球型腫瘤で柔らかく境界明瞭で割面は黄白色であった.病理組織学所見で血管結合織の増生を伴い,著明なリンパ球と形質細胞の浸潤が認められIPTと診断された.術後経過は良好で新たな病変の発生など認められていない
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