発行日 2002年3月1日
Published Date 2002/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2002228406
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
65歳女.日本住血吸虫症の既往があった.約3ヵ月半前に直腸癌の根治術を受けた.その後の経過は順調であったが,右半身の脱力感を自覚するようになった.胸部Xp,腹部CT,骨シンチ検査では肺・肝・骨への転移は認められず,明らかな局所再発もみられなかったが,頭部CT検査では左前頭葉に広範な低吸収域を認めた.頭部MRI検査では,同部位に,周囲に強い浮腫を伴い,著明な増強を受ける径2cm大の単純性の転移性脳腫瘍を認めた.孤立性の直腸癌脳転移と診断し,脳腫瘍摘出術を行った.腫瘍は被膜を有する弾性硬,径2cm大のもので,組織学的にも直腸癌からの転移である高分化腺癌と確認された.術後経過は順調であったが,脳腫瘍摘出術後4ヵ月目に左側頭部に再発し,2度目の脳腫瘍摘出術を行った.現在,脳転移判明後3年1ヵ月が経過し,全身転移を認めているが,生存中である
©Nankodo Co., Ltd., 2002