発行日 2001年2月1日
Published Date 2001/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2001136948
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症例は85歳の男性でめまいと嘔気を主訴とした.70歳頃から本態性高血圧症の診断で近医通院中で,来院時の血圧は210/102mmHgであった.頭部CT上右小脳に約1cmの高吸収域像を認め,小脳出血を疑った.胸部X線像では左上肺野に孤立性の淡い結節陰影を認めた.この陰影は約6ヵ月前の胸部X線像では確認されていなかった.悪性を疑わせたが,喀痰細胞診,経気管支肺生検共にclass Iであった.又,肺癌で有用性の高い腫瘍マーカーでは,特にPro GRPの高値が目立った.その後めまい,嘔気は増悪し,頭部CT上多数の高吸収域を認め,転移性脳腫瘍を疑い,髄液細胞診を施行したが悪性細胞は検出されず永眠した.経過からは肺原発腫瘍の脳転移を疑ったが確定診断のため病理解剖を行った.診断は悪性褐色細胞腫で,多臓器転移をきたしている症例であった.本症例のような脳転移は極めてまれである
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