臨床経験
乳頭筋断裂による僧帽弁閉鎖不全症に対する弁形成術
上山 圭史
1
,
小山 基弘
,
大滝 憲二
,
伊藤 佳永
1旭川赤十字病院 救急科
キーワード:
胸部X線診断
,
心エコー図
,
僧帽弁閉鎖不全症
,
僧帽弁形成術
,
経皮的冠状動脈インターベンション
,
乳頭筋断裂
Keyword:
Echocardiography
,
Mitral Valve Insufficiency
,
Radiography, Thoracic
,
Mitral Valve Annuloplasty
,
Percutaneous Coronary Intervention
pp.832-835
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017398764
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症例1は69歳男性で、発熱を主訴とした。超音波で前尖の逸脱を伴う高度の僧帽弁閉鎖不全を認め、X線で心不全状態と判断し、手術を行った。僧帽弁を観察すると、後乳頭筋が断裂して前尖の腱索に付着し、前尖が逸脱していた。腱索を一部含めて乳頭筋を除去した。後尖が付着している乳頭筋は外見上しっかりしていたため、ここから人工腱索を前尖にかけ、28mmリングで弁形成術を行った。症例2は80歳男性で、心停止状態を主訴とした。超音波で僧帽弁閉鎖不全を認め、X線で急性心筋梗塞、乳頭筋断裂による僧帽弁閉鎖不全症に伴う急性心不全と診断した。カテーテル検査で右冠状動脈の閉塞を認めたため、手術を行った。僧帽弁を観察すると、後乳頭筋が断裂し、後尖が逸脱していた。断裂した乳頭筋を含め後尖を四角切除して縫縮形成し、28mmリングで弁形成術を行った。また、大伏在静脈で右冠状動脈にバイパスを行った。2例とも術後経過は良好である。
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