臨床経験
アテローム潰瘍の穿通性に被覆破裂を呈したIgG4関連大動脈周囲炎
染谷 毅
1
,
櫻井 翔吾
,
白井 俊純
1青梅市立総合病院 胸部外科
キーワード:
IgG
,
潰瘍
,
高ガンマグロブリン血症
,
MRI
,
縦隔炎
,
大動脈疾患
,
動脈硬化症-アテローム性
,
破裂-自然
,
Fluorodeoxyglucose F18
,
胸部CT
,
PET-CT検査
Keyword:
Positron Emission Tomography Computed Tomography
,
Aortic Diseases
,
Immunoglobulin G
,
Hypergammaglobulinemia
,
Magnetic Resonance Imaging
,
Mediastinitis
,
Rupture, Spontaneous
,
Ulcer
,
Fluorodeoxyglucose F18
,
Atherosclerosis
pp.827-831
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017398763
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67歳男性。胸部痛を主訴とした。血液検査で炎症反応を認め、造影CTでTh5~6レベルの下行大動脈の縦隔側に、淡い造影効果のある、内部に低吸収域をもつ軟部組織陰影を認めた。6日後のCTで前回CTでは明らかでなかった穿通性アテローム潰瘍(PAU)と、造影剤の血管外漏出を認めた。血液免疫学的検査ではIgG4が224mg/dlと異常高値を示した。IgG4関連大動脈周囲炎に合併した下行大動脈のPAUによる被覆破裂と診断し、下行置換術を施行した。病理検査で大動脈内膜面は中膜が消失して潰瘍化し、内部に赤色血栓が付着していた。潰瘍部周囲を中心に、大動脈外膜に連続してリンパ球や形質細胞の浸潤を伴った線維化を認め、花筵状線維化を示していた。多数のIgG4陽性細胞を認め、IgG4関連大動脈周囲炎と診断した。術後1年の現在、IgG4値は171mg/dlまで低下し、局所病変の増大、他臓器病変の出現を認めていない。
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