臨床経験
鈍的心外傷に対する外科手術
矢鋪 憲功
1
,
谷内 毅
,
高橋 智彦
1富山県厚生農業協同組合連合会高岡病院 胸部外科
キーワード:
ドレナージ
,
人工心肺
,
X線CT
,
職業性外傷
,
心筋挫傷
Keyword:
Myocardial Contusions
,
Drainage
,
Heart-Lung Machine
,
Tomography, X-Ray Computed
,
Occupational Injuries
pp.497-499
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2017304630
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症例1は72歳男で、交通事故により受傷し、前医にて心エコー検査で多量の心嚢貯留を認め穿刺したが、十分なドレナージができず転院となった。心膜を切開して多量の凝血塊を除去後、心尖部近くの心外膜に小血腫を認め、すでに止血している状態であったためタコシールとフィブリン糊で補強した。症例2は38歳男で、症例1と同様の状態で転院となり、胸骨正中切開すると、心嚢内は血腫で充満し右房と上大静脈の接続部より出血を認めたため、縫合止血した。症例1・2とも輸血は不要であった。症例3は34歳男。クレーンと鉄骨の間に体が挟まれて受傷し、造影CTでは大量の心嚢水・肝挫傷・腹腔内出血を認めた。ドレナージからの出血が多く、胸骨正中切開すると左心耳近傍の房室間溝付近が裂けていたため心拍動下に縫合止血し、その後肝挫傷に対し経カテーテル動脈塞栓術を行った。輸血は赤血球10単位、新鮮凍結血漿12単位を要した。いずれの症例も人工心肺は使用しなかった。
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