手術の工夫
下壁梗塞に合併した心室中隔穿孔
佐藤 久
1
,
中山 義博
,
田中 秀弥
,
高橋 巴久
1大隅鹿屋病院 心臓血管外科
キーワード:
心膜
,
僧帽弁
,
心室中隔穿孔
,
心筋梗塞-下壁
,
心膜パッチ
Keyword:
Mitral Valve
,
Pericardium
,
Ventricular Septal Rupture
,
Inferior Wall Myocardial Infarction
pp.503-505
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016339090
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症例は81歳女性で、前胸部痛で近医の冠動脈造影にて右冠状動脈Seg 2閉鎖による下壁心筋梗塞と診断され、経皮的冠動脈形成術を受けたが、8日目に呼吸苦が出現し、心エコーで心室中隔穿孔(VSP)を認め、大動脈内バルーンパンピング(IABP)挿入後に救急搬送された。X線で心胸郭比67%、肺うっ血を認め、心エコーで後下壁の壁運動低下、心基部に近い中隔後壁の穿孔で左室→右室へのシャント血流を認めた。心臓カテーテル検査の左室造影で左→右シャントを認め、肺体血流比3.22、シャント率68.9%であった。体外循環確立後に心停止し、心尖部を挙上して左室下壁を切開した。VSPは心基部近くにあり、僧帽弁付近まで心室中隔の心筋梗塞を認め、ウシ心膜パッチの1枚はVSPを直接閉鎖し、2枚目でinfarct exclusionを行い、左室切開部を閉鎖した。体外循環からの離脱は容易で、術後5日目に人工呼吸器から離脱した。心エコーでシャント血流は認めず、術後61日目に退院した。
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