発行日 2011年12月1日
Published Date 2011/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012213774
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症例は73歳女性で、腹部絞扼感の後の意識消失を主訴とした。心臓カテーテル検査で冠状動脈造影上、seg.14の完全閉塞が認められた。左室造影では左室側壁から心嚢腔へ造影剤の流出が認められた。急性心筋梗塞に起因する左室自由壁破裂と診断し、手術を施行した。胸骨正中切開で開胸したところ、心臓の側壁に1.5cmの裂孔が認められた。TachoCombとフィブリン糊による圧着を試みたが、全く止血できなかった。この間に瞳孔散大と対光反射消失を繰り返し、重篤な脳障害が懸念された。体外循環を使用した心停止および低体温下にサンドイッチ法を用いたところ、ようやく止血できた。第34病日の頭部MRIで低酸素脳症の所見は認めなかったが、多発脳梗塞を認め、周術期の塞栓症と考えられた。術後、長期臥床による上下肢の廃用性萎縮のため長期リハビリテーションを要したが、第156病日に独歩退院となった。
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