発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2016339089
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症例は17歳男性で、数ヵ月続く背部痛が増強し、近医胸部X線で異常陰影を認め紹介入院した。漏斗胸を認め、検査でAFP、hCGの高値を認めた。X線で左胸腔を占拠する腫瘍性陰影を認めた。CTで左胸腔を占拠し、胸壁、肺動脈に接する最大径13cmの前縦隔腫瘤を認め、生検で卵黄嚢腫瘍と未分化奇形腫からなる混合型胚細胞腫瘍と診断された。BEP療法(bleomycin、etoposide、cisplatin)で腫瘍マーカーは改善したが、腫瘍の縮小が得られず、プラストロン型開胸法で手術の方針とした。Y字型に皮膚を切開して変形肋骨胸壁全体を剥離露出し、第2肋骨から尾側の肋骨弓下まで切離し、腹直筋を有茎とするプラストロンを作成した。癒着部位の肺、左横隔神経、胸膜頂部の壁側胸膜を合併切除して腫瘍を摘出した。病理所見では、腫瘍は扁平上皮や腺上皮、骨、神経組織からなり、広範囲で凝固壊死を認めた。経過は良好で術後7日目に退院し、術後化学療法が行われ経過観察中である。
©Nankodo Co., Ltd., 2016