臨床経験
喀血で発症した肺嚢胞内出血
片桐 さやか
1
,
神崎 正人
,
川田 順子
,
葭矢 健仁
,
前田 英之
,
和知 尚子
,
吉川 拓磨
,
井坂 珠子
,
小山 邦広
,
村杉 雅秀
,
大貫 恭正
1東京女子医科大学 第一外科
キーワード:
喀血
,
胸部X線診断
,
縦隔腫瘍
,
鑑別診断
,
肺切除
,
ビデオ下胸腔鏡手術
,
肺出血
,
肺嚢胞
,
胸部CT
Keyword:
Diagnosis, Differential
,
Hemoptysis
,
Mediastinal Neoplasms
,
Pneumonectomy
,
Radiography, Thoracic
,
Thoracic Surgery, Video-Assisted
pp.357-359
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015298897
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
40歳代男。咳嗽に伴い喀血が出現し、近医での胸部造影CTにて上行大動脈に接する40mm大の腫瘤を指摘された。胸部X線で左肺門部は腫大し、下行大動脈内側に透亮像を認め、胸部CTでは腫瘤周囲にブラを認め、周囲にスリガラス状陰影が広がっていた。胸部造影CTで腫瘤内部のCT値は軽度高吸収で、内部に造影構造はなかった。流入血管は、左腕頭動脈、左内胸動脈から分岐していた。内科的治療を継続するも血痰が持続したため、胸腔鏡下に手術を施行した。手術所見で腫瘤は左上葉S3に存在する肺嚢胞で、表面に蛇行・拡張した血管を認めた。縦隔胸膜と癒着を認めたため剥離を行い、左肺を部分切除して腫瘤を摘出した。病理組織所見では胸膜直下の肺嚢胞内に血液貯溜を認め、肺胞腔内にヘモジデリンを貪食した組織球を多数認めた。肺内に破断した血管はなく、悪性所見も認めなかった。術後経過は良好で、術後4ヵ月経過の現在、再発はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2015