発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015199770
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82歳男。血痰、体重減少を主訴に当院紹介となった。血液検査では高カルシウム(Ca)血症を認めた。胸部CTでは右肺下葉に90mmの腫瘤を認め、気管支鏡下肺生検にて扁平上皮癌と診断された。脳MRIでは転移を認めず、PET/CTでは腫瘤と肺門リンパ節に集積を認めたが、気管分岐部、縦隔リンパ節に集積はなく、臨床病期IIIA期とされた。初診3週間後に高Ca血症が進行したため入院し、補液、利尿薬、zoledronic acid hydrate、elcatonin投与にて血清Ca値は改善したが、嘔気などの症状は改善せず、全身状態が悪化したため、右肺中下葉切除術を行った。病理組織学的に副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)産生肺癌であり、術後は嘔気などの症状が改善し、術後10日で軽快退院となった。術後8ヵ月で多発性肺転移を認めたが、高Ca血症や症状はみられず、現在は無治療にて経過観察中である。
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