臨床経験
102歳・女性の自然気胸
奥谷 大介
1
,
安藤 陽夫
,
東 良平
1国立病院機構岡山医療センター 呼吸器外科
キーワード:
Polyglycolic Acid
,
気胸
,
胸部X線診断
,
Fibrin Tissue Adhesive
,
胸部CT
,
肺ブラ
Keyword:
Pneumothorax
,
Polyglycolic Acid
,
Radiography, Thoracic
,
Fibrin Tissue Adhesive
pp.1155-1158
発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015122718
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102歳女性。体動時呼吸困難を自覚して近医を受診、胸部X線像にて右III度自然気胸と診断された。治療としてトロッカーの留置で1ヵ月の保存的治療を行ったがリークは消失せず、更に入院中に癒着術を2回実施したがこれも効果がなく、手術目的で著者らの呼吸器外科へ紹介となった。入院時、胸部CTでは肺実質と胸壁に癒着が認められるも明らかなブラは指摘されず、全身麻酔下に左側臥位として3ポートにて手術を開始した。術中所見では肺表面にCTで認識できないような壁の薄いブラが上葉や中葉に散在しており、リークテストを行なったところ中葉よりリークが認められた。そこで、肺表面に散在する壁の薄いブラやリース部位をポリグリコール酸(PGA)シートにて被覆し、フィブリン糊を塗布した。その結果、術後2日目に胸腔ドレーンを抜去して、患者は術後第5病日目に退院となった。以上より、超高齢者の自然気胸においても漫然とした保存的治療ではなく、生物学的年齢による全身評価に基づいた外科的治療も念頭に置く必要があると考えられた。
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