胸壁・横隔膜の手術-その2 横隔膜弛緩症
小児横隔膜弛緩症に対する内視鏡下横隔膜縫縮術 ノーナイフ自動縫合器を用いた工夫
松原 寛知
1
,
宮内 善広
,
市原 智史
,
松岡 弘泰
,
国光 多望
,
内田 嚴
,
大貫 雄一郎
,
蓮田 憲夫
,
大矢知 昇
,
高野 邦夫
,
鈴木 章司
1山梨大学 第二外科
キーワード:
横隔膜弛緩症
,
胸腔鏡法
,
胸部X線診断
,
外科用ステープラー
,
肺切除
Keyword:
Diaphragmatic Eventration
,
Pneumonectomy
,
Surgical Staplers
,
Radiography, Thoracic
,
Thoracoscopy
pp.976-979
発行日 2014年10月1日
Published Date 2014/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2015008976
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症例は8歳男児で、5歳時に感染を繰り返す先天性嚢胞状腺腫様形成異常に対し、胸腔鏡下左肺上葉切除術を行った。術後左横隔膜挙上を認め、横隔膜神経麻痺による横隔膜弛緩症と診断した。血液生化学検査では異常を認めなかったが、呼吸機能検査で肺活量1.61L、%肺活量77.4%、1秒量1.35L、1秒率73.8%と軽度の拘束性障害を認めた。胸部X線で左横隔膜挙上を認め、透視下では左横隔膜の奇異性運動を認め、胸腔鏡下横隔膜縫縮術を行った。胸腔鏡下にノーナイフ自動縫合器を使用することで腹腔臓器を損傷することなく、安全かつ十分に横隔膜を縫縮することができた。術後は啼泣しても嘔吐の誘発はなく経過した。術後4年経過したが左横隔膜の平坦化を維持し、呼吸機能検査でも肺活量2.51L、%肺活量82.3%、1秒量1.99L、1秒率70.8%と患児の体格に合わせた肺機能を保っている。
©Nankodo Co., Ltd., 2014